物語

元・ボクシングの東洋チャピンオンで、いまは頭の後遺症に悩みながらも警備員の仕事をしている朝秀晃(窪塚洋介)。ささやかな楽しみは、彼が「マル」と呼ぶ野良猫の世話をすることだった。ところが、そのマルが行方不明に。保護されているかもと、保健所を訪れた秀晃は、入口にひとりの男が猫を抱いて出てくるところに出くわす。その猫こそ、マルだった。

「マル! よかったな! 命拾いしたな、お前!」

ところが、その男、梅津郁巳(降谷建志)は無視して歩き出す。

「ちょっと、待って。そいつ、俺の猫なんだよ。ずっと探してて。な、マル!」

「リリィだよ」

「え?」

「リリィ。俺がさっきつけた名前。いま、もらってきたところ。猫って魂を9つ持ってるんだって。こいつの魂はもうリリィなんだよ」

ふたりの男はそんなふうに出逢った。

ある時、秀晃はボディーガードのアルバイトを頼まれる。それは、シングルマザーの女・土屋冴子(市川由衣)をストーカーから守ること。そのストーカーは冴子が一ヶ月ほど前に別れた男、玉木敏郎 (品川祐)だった。

秀晃は、冴子と玉木が話し合う喫茶店で、少し離れた席で見守ることに。ところが、偶然この店を郁巳が訪れる。話し合いがこじれ、冴子に手を上げた玉木を秀晃が止める。と、なぜか、郁巳も加勢したことで、大騒ぎになり、警察沙汰になってしまう。この一件で玉木の想いはさらに募り、次第に狂気じみた行動に駆られることになった。

冴子の息子、隼人を預けている託児所に、玉木が交際当時隠し撮りしたベッドでの冴子の下着姿の画像が次々に送られてきた。玉木の仕業だった。さらに玉木は託児所に侵入までしてきた。

玉木は何をしでかすかわからない。冴子と一緒にいれば隼人の身にも危険が及ぶ。託児所の勧めもあり、隼人を養護施設に預けることを決意した冴子を、秀晃は送り届けることに。が、秀晃には免許も車もない。郁巳がひと肌脱ぐことになった。

いつしか、秀晃と郁巳は互いをマル、リリィと呼び合うようになっていく。
そして、共に冴子を守るため東京へ向かうことになるが――。